2009年8月4日火曜日

アートと環境との対話


金曜日の夜にアートと環境との対話という講演に行ってきた。
トーキョーワンダーサイト主催で、会場は国連大学。
初めて中に入った(^_^)v

講演は2部構成で、前半は専門家の講演、後半はアーティストたちの活動報告。

細田さんは「グッズとバッズ」というお題での話。
続いて武内さんは「漂流ゴミと循環型社会」というお題。


二人の話で環境問題とアートとの接点を考えた後、アーティストたちの話になった。


藤 浩志
 面白い連鎖をどうやったら作れるか、とうい問題意識が興味深い。
 108分別とか、いらなくなったおもちゃを交換する「Kaekkoシステム」の
 開発の話とかもっと聞いてみたいと思った。設定時間が短すぎか?
 活動を作っていく仕組み、かかわり方のデザイン・可視化という
 課題感は、さまざまな分野の活動で共通するね。

淀川テクニック
 淀川に落ちているゴミで作品を作るアートユニット。
 淀川のうちで、ものすごく汚い場所、見たくない場所、
 捨ててしまいたい場所に「こんだけ汚いと何か生まれて
 くるんじゃね」と自ら入り込んでいって、作品を作って
 いくというのが面白い。
 「ごみが捨てられてる淀川」を浮かび上がらせているので
 単なるジャンクアートとは訴える力が違う。
 なにより表現が面白くて楽しいのがいい。

 

 

これまでの作品を紹介するスライド。

淀川で見つけたのごみをパックしたり(バッズからグッズに転換!)、魚のインスタレーションを作ったり。
彼らのプレゼンテーションがいちばん良かった。内容があり、聞き取りやすく、面白く、時間内に完結した。


西村徳行
 筑波大学附属小学校教諭で図工の先生。アーティストを招いて
 ごみ素材とした授業の事例紹介をしてくれた。
 「子供は情報をよく知っているが、実感はない。問題を問題として
 浮かび上がらせる、自分にかかわりのあることとして、問題に働き
 かける力をつけさせたい」

吉川祐二
 人の手が入っていないビーチは、ごみが溢れている。
 ビーチに来た人が捨てるだけでなく、漂流ごみがたくさんあって、
 毎日掃除していてもなくならない。
 毎日海に入る人らしい言葉だった。

Chris Wainwrite
 アーティストと科学者との対話と、多分野の人たちがひとつのテーマに
 ついて考察する時の関わりと発展性についての話が興味深かった。

高谷史郎
 art and science に興味を持って取り組んできた人。
 北極の氷(アイスコア)は木の年輪のように太古からの空気をその中に
 封じ込めている。それをアイスコア・インスタレーションとして、
 モニターに映し出している。青白く映し出されているコアは、
 数十億年の時の堆積を示していてロマンを感じさせると同時に、
 極めて科学的な表現でもある。
 科学者が、アイスコアを掘り進めて地球の姿を知り、気候変動を考えていく
 必要性を30年も前から気づいて調べてきたのに、今現在もまだ社会が
 変わっていないことに恐ろしさを感じると言っていた。

大巻伸嗣
 モノ(作品)を作れば作るほどごみが出る。
 意識の問題からアートを立ち上げてみたとして、廃棄物埋立処分場や
 縄文時代のゴミ捨て場である大森貝塚の話、「ごみとは何か」という
 問いかけを起点に、参加者と意見を交換しながらコトを起こしていく
 「Garbage Project」の話。
 一人の人間が持つ意識が大事、見えていないことを発掘させていく、
 気づくことの大切さを訴えていた。

津村耕佑
 10頭身のモデルを美の基準にすることの違和感から、「FINAL HOME」に
 至る話をしてくれた。内容は面白いが聞き取りにくかった。


結びに、武内さんが「新鮮な刺激を受けた。(このような建物内の
講演ではなく)現場でのコラボレーションをしたい。
世の中を変えるために。
ついついわれわれは(学者は正確性を期すために)説教くさくなる
悪い癖がある。それでは市民にすとんと落ちない。
それを変えものが科学とアートのコラボレート。」と話していた。

大量の資料。ごみにしないように…

アートの表現は「世界観には幅がある」ことを前提にしてるので、
逆に多くの人に問題を気づかせるたり、興味や関心を増幅させる
ことができるんだろう。

それにしても、面白い人が集まりすぎたね。
各自が活動報告をするだけで予定時間をオーバーしてしまい、
楽しみにしていた討論が無かったのがとても残念。
また、続きを(今度は街に出て)やってくれないかな。
 

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