2日の午後、
会場は日経カンファレンスルーム。
日経新聞の新本社ビルに入るのは初めてなので、
それも楽しみの一つで出かけて来ました。
入口のエレベーターから混んでいます。
2基しかないのが主な原因ですが、「CRE」という言葉が注目されて
参加者が多いのも理由でしょう。
もうすぐ、FM(ファシリティマネジメント)のように定着しますかね。
第一部は、CREと時価会計の新潮流というタイトル。
IFRSの概要説明と、それが企業不動産(ファシリティといったほうが
より適切なのかな?)に与える影響の解説です。
わが国の不動産は2300兆円、そのうち企業が保有するのは約400兆円と大きなもの。企業が保有する資産のおよそ3割が不動産といわれます。
それは間接金融が主だった歴史が影響しているんだけど、とにかく公正価値評価(≒時価評価)が必要になるとして、3月決算のわが国で実際に鑑定評価ができるのか?はこの講義では見えなかった。
(ただし、日本の鑑定評価基準に基づいた不動産の鑑定評価額はIFRSでの公正価値の範疇に入るとのことなので、そこは安心)
資産・負債アプローチは頭で理解しても、皮膚感覚になるまでは
時間がかかるだろう。
ただ、資産は費用化していくものという原則通りに考えていれば
(ぜその資産を持つのか、どのように利益に結びつけるのか
を明らかにする考え方)
判断を大きく間違えることは無いんじゃないかな。
休憩時間には司会が紹介した書籍に人が集まる。
さすがは日経、商売熱心で抜け目が無いね。
第二部は事例紹介で、パネリストはニッセイ基礎研究、トーマツ、住友信託。
企業の不動産戦略について、目新しい話は少なかったけど、「不動産はコストがかかっていない資産と思っている人が多い。(事業に必要なものであって売り物ではないから、という製造業的な考え方かな?)
それを変えていくにはトップからのメッセージと組織の整備(もっと言えば人事と処遇)が必要」
「企業不動産について評価指標の機械的導入は、合理的判断を歪める危険性がある」
「CRE単体の評価は意味が無く、企業の成長戦略と整合させる全体最適が大事」
という話は、頷く人が多かったように思う。
その後は司会者が質問を投げかけた。
Q1 不動産の時価開示など制度の変更を受けて、
企業のCREマネジメントに対する考え・取り組みは
変わってきているのでしょうか。
意識は高まってきている。ただ組織対応はこれから。
「持たざる経営」の結果、新規取得・雇用が成長期の足かせに
なったこともあり、清涼戦略との整合は重要だ。
Q2 CREマネジメントの継続実施にあたり、どこから
手をつければよいのでしょうか。
また、担当部署に求められる役割・人材あるいは
外部パートナーとの関係はどのようなものでしょうか。
必要性(哲学)を定める。
全体を把握する活動をする。普通の企業で1~2年かかる。
(それだけ全体像の把握は難しい)
把握したら、活用・分析の表に落とし込んでいく。
管理等の材料・ツールはコンサルや管理会社を外部パートナー
(サービスプロバイダー)として活用し、判断は内部でする。
サービスプロバイダーと現場(ユーザー)をコーディネートする
仕事・能力が必要になる。コントロールできる人を充てる。
具体例として、ノキアはマネジメントも外部化していくと紹介され、
それを聞いて、ノキアジャパンには凄腕のファシリティマネジャーが
いることを思い出した。
Q3 CRE戦略(マネジメント)において、経済状況の変化に
合わせて変えて対処すべきポイント、あるいは
不変で対処すべきポイントを教えてください。
CREの戦略は不変であるべき。
ただし、マーケットが良い状態で高く売るのが良いので、
戦術は変える。
不動産所有のリスク(価格変動、法令改正など)を
どこまで取るのか、中長期の視点で考える。
例えば、ヒルトンは不動産を所有しない。自らのコア事業を
ホテル運営(フィービジネス)と定義しているため不動産の
リスクは取らないという。
景気・経済状況の変化の影響をミニマイズすることが大事で
そのためにも全体像の把握が重要だ。
最新事例に学ぶ経営戦略とCREマネジメントというタイトルだったけど
やはり個別企業の具体的な事例紹介は難しいようで、一般的な話になった。
それでも、CREを高度化することは、ヒューマンリソースやIT化の
こととも深く絡むことになるので、IFRSを契機とするマネジメントの
高度化を考えると、刺激的で面白い!っと感じる。
次回(12/11)も時間を作って参加してみよう。
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