2009年10月7日水曜日

伊藤公象 WORKS 1974-2009


久しぶりに東京都現代美術館まで行ってきた。

車で20分。近い!
だけど、駐車場に入るのに10分、チケットを買うのに30分と
美術館に着いてからが大変だった。

それは同時開催の「メアリー・ブレア展」目当ての人が
ほんとに大勢いたから。
ブレアは、ウォルト・ディズニーのコンセプト・アートを
描いていた人なんだけど、美術館から溢れるくらいに人を
惹きつけるディズニーに集客力に改めてびっくりした。

 

チケット販売に疑問を覚えた。
それは、ブレア展も伊藤公象展も「売り場が同じ」なので
伊藤公象目当ての少人数も、大行列に巻き込まれること。
スタッフは親切で気持ち良いんだけど、臨時の売り場を作って、
ブレア展と伊藤展の人の動線を分けるような工夫をしてほしかった。

行列の中から作品をチラ見

伊藤展が、ブレア展のついでに観ると半額!というのは興味深い。
付録的な扱いはいかがなものかと顔をしかめるお人もいるけど
伊藤公象に興味を持つのは陶芸好きか現代美術好きだろう。
世の中から見れば、まあ少人数だ。
だからブレア展をきっかけに現代美術の展覧会にも誘導しようとする
チャレンジは評価したい。効果(入場者数)も知りたいな。



伊藤公象は、土を素材とした陶造形で知られる作家で、もう35年も
制作を続けているベテランだと、この展覧会で知ることができた。


陶磁による抽象的な作品に、イマジネーションを掻きたてられる。

 
右の写真は、客土シリーズ 長石による襞
左の写真の中で、右側にある黄色の作品は、ワークショップ
「伊藤公象の追体験」で参加者が作ったもの。
信楽粘土を使い、乾燥するにつれて色が変わっていくそうだ。

陶磁で作られていながら、紙のようであったり、金属のようだったり、
貴石のようであったり。陶磁器と同じ素材から作られたとは思えない。
ひとつひとつのピースは片手でも持てるくらいの小ささで、それを
数や並べ方を変えている。

 
土の襞 踊る焼凍土と、JEWELの襞

この日印象に残ったのは
 アルミナのエロス
 濃紫の多軟面体
 土の襞-踊る焼凍土
 土の襞-青い凍結晶
 木の肉・土の刃II
 客土シリーズ 長石による襞No.3
 JEWELの襞77

アルミナのエロスは、アルミナを箱に入れて焼いて出来た純白の箱を
円形に並べたもの。欠けたり壊れたりしているのも含めて形や質感が
面白い。行きつ戻りつして見るうちに、さまざまな感情が湧いてくる。

土の襞-青い凍結晶は、四角い皿上のものに泥漿を流し入れて凍らせ
それを焼いたもの。青い陶板の表面にできた氷の線描が木の肌に見え
静かな夜を思わせる。一つほしいと思った。

 
アルミナのエロス、海の襞

展覧会の空間構成も面白い。
低い視線の展示室から、屋外の大きな展示。
その次は、真っ白な部屋に作品が浮かべられている。
まさにホワイトキューブって感じの部屋で作品と向き合うと、
幻想的な感じが強くする!
そこを通ると、次は暗い部屋に、海の襞が光の中で浮かんでいる。
最後は、白い襞とJEWELの襞77の展示室だ。

観覧した人たちの感想

よじれたり、ひび割れていたり、色も様々な作品のまわりを歩きながら
作品のある空間も見て、作家の思考を感じるのが楽しい。
自然の力を借りて語る、時間の痕跡である襞や罅。
その抽象的な形が頭と心を揺さぶってくれる。
空間そのものも作品となっている。
庭園を散歩している感じで楽しい展覧会だった。
 

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