2009年12月5日土曜日
速水御舟‐日本画への挑戦‐
広尾に引っ越した山種美術館まで行ってきた。
三番町にあったころは、担当ビルが近くにあったこともあり
目の前を何度も歩いたんだけど、中に入ることはなかった。
(今思えば、時間を作ってもっと覗いておけばよかった。
後悔先に立たずデス...)
開館展は『速水御舟‐日本画への挑戦‐展』
ってもう、いつも通りというか、会期終了間際の先週土曜日の夕方に、
慌てて見てきた(^^;
速水御舟ってこの展覧会で初めて知ったけど、んもう、
たいへんにすばらしい。
教養のなさも悪くないか。いい大人になった今でも
衝撃的な感動が味わえるからね。
もっとも気に入ったのは「炎舞」(1925)
チラシ
これは御舟の代表作のひとつで、チケットやチラシにも使われる。
炎の表現がとにかくすごい。
踊るように燃え上がる炎と、それに群がる数匹の蛾だけに
することで、心象風景になっています。
御舟本人が「二度と出せない色」と言ったのもよく分かる。
漆黒の闇に現れた炎が輝きを放つ様はほんと目を奪われる。
何人もがこの絵の前で立ち止まって覗き込んでいた。
あとからじわじわと効いてくるのが「名樹散椿」(1929)
金地の絵なんだけど、この滑らかでありながら深みのある金が
特殊な空間(桃源郷とかそういう異世界)を作っている。
そこに椿の花や単純化されたフォルムの幹などが配されていて
そのバランスがまた妖しい魅力がある。
この金地は、細かい砂子を何度も重ねたてつくったと案内にあった。
その手間とお金を考えると、これこそ力作!と思うね。。
御舟は30代に渡欧した。
そのときのスケッチ(これがうまい!)や家族への手紙があって
興味深い。
新たな境地を開こうとする姿勢がすばらしくて、夫人に
「世間がほめてくれる絵を描くのは簡単だけれども、
これからは売れない絵を描くから覚悟しておいてくれ」
と語ったり、友人たちには
「自分の絵には主張がなくなった」「絵が早くできすぎて困る」
と言ったという。
う~ん、挑戦者だねえ。
この展覧会は、御舟の作品が年代順に展示されていて、
そのお陰で作風の変化がよく分かる。
別人じゃないの?って感じるくらい。
そんな御舟だけど、「人物群像」を手がけているうちに
腸チフスに罹り昭和10年に40歳の若さで亡くなってしまう。
晩年の静謐な感じの作品を見ていると、御舟にもう少し
時間があったなら「人物群像」の次に、どんな世界を
描いたんだろう?と思ってしまう。
今年見た中で(12月になるとこんな風に考えるもの)
ベスト3に入るかな。
この展覧会は終わったけれど、次の速水御舟展はぜひ!
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