2009年7月16日木曜日

高橋コレクション neoteny japan


ネオテニー・ジャパン展の最終日に行ってきた。

会場は上野の森美術館だ。

「日本のコンテンポラリーアートのアーカイブ」という評価を聞いてそれでは行っておこうと思ったんだ。

この展覧会は、高橋龍太郎さんという方が個人で集めた作品で作られてるんだけど、「これが個人コレクションなのか?」とまず驚く内容だ。
作風も目指す方向もずいぶんと違う、若手から中堅の作家の作品をよくこれだけ蒐集したもんだ、そこにどういう考えがあるんだろうと、蒐集家の情熱にも関心を覚えた。


『「neoteny(幼形成熟の意)」をキーワードに、90年代以降の
 日本の現代美術にみられる特徴―幼さ、カワイイ、こどもの
 ような感性、マンガ、 アニメ、オタク、サブカルチャー、
 内向的、物語性、ファンタジー、過剰さ、日常への視線、
 技術の習熟、細密描写、巧みなビジュアル表現 など、日本の
 現実や若者の心象風景とリンクした世代のアーティストたちが
 生み出してきた新たな世界を多角的に読み解きます。』
と案内にあった。


約1時間を予定したんですが、全部回りきれず、一通り見るのに
90分ほど掛かってしまい、最後は「退館にご協力願います(涙)」と
案内係りの人に言われてしまいました(ぼくだけじゃないよ)。

アートって何?という疑問を感じるような挑戦的な作品もたくさん
あるのですが、何より感心するのは、好き(=自分の原点)
ベースに作品を作っているんだと感じられたことですね。
もちろん、技術を前面に出す人もいれば、アイディア勝負!も
ありますし、内面をえぐって滴る血とともに形を作ったような
ものもありますが、全体としてとても楽しい気持ちになる展覧会
だということ。これは大事だね。

 

会場に入って最初の部屋は鴻池朋子の作品。
体長2m程度の狼の像(表面に細かい鏡が貼ってある)がいて
四方の壁と天上に無数の細かな光を反射している。その奥には
ビデオ作品があり、観客が取り囲んでいた。
おお、この展覧会は期待できそうだ、という気にさせる
「つかみ」の役を見事に果たしていると思う。

次の部屋からはこれでもか、というくらいに有名な作家の作品が
並んでいてる。

まず奈良美智の絵。『Candy Blue Night』が展示してある。
正直言うと、なぜここまで世間の評価があるのか分からない。
インパクトがあるし、一度見ると忘れられないのは確かだけど。

 

会田誠は『紐育空爆之図(戦争画RETURNS)』と『大山椒魚』。
ニューヨークをゼロ戦が爆撃するというパンチあるテーマだ。
『大山椒魚』は全裸の美少女2人が巨大なサンショウウオと
絡んでいる絵だ。これを、まじまじと見ているところを、
もしアートを知らないぼくの知人が見たら、即勘違いして、
もう口をきいてくれないかもしれない。

村上隆は新旧の7作品が展示されていた。『Mr.DOB』や
『ルイ・ヴィトンのお花畑』あたりはポピュラーになりすぎて
今見ると初期作品の『ポリリズム』が面白く感じる。

小川信治の『最後の晩餐』は、ああなるほど、この解釈は
分かりやすくていい、教材にしてもいいくらいと思った。

照屋勇賢はアイディアが冴えてる。

山口晃の『當世おばか合戦―おばか軍本陣圖』はタイトルに
偽りなしの名品だ。
『遠見の頼朝共時性』もなまめかしいくらい生き生きとして
注目すべき作品(「やるなぁこのヤロー」)と感じた。

町田久美は技法からいうと日本画になるんだろうなあ。
こんなインモラルな絵を書く人を、日本画家だと紹介したら
勘違いされそうだが。

西尾康之『巨大女為正義』もイイ。よくこんなもの作った!

小谷元彦の『HumanLesson(Dress01)』は、フライヤーのもとに
なった作品だけど、まさかこんな作品だったなんてと、ものすごく
びっくりした。

加藤泉はインパクトというか生命感あふれる作品なんだけど
なぜあえて「無題」なんだろう。妙に考えさせられる作品だ。

 

この展覧会は「世界が注目するニッポン現代アートの基礎知識!」
とうたうだけの内容があった。よかった。…いや、濃すぎ。

ミュージアムショップも面白い。
でも、伊藤存のデザインした靴73,500円って… ちょっと履けないなあ
 

半券


第二弾もぜひ開いてほしいね。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿