2009年7月20日月曜日

野村仁 変化する相


金曜日の夜に、国立新美術館で開催中の
野村仁 変化する相ー時・場・身体』に行ってきた。

 

展覧会は、野村仁の仕事を時系列順に俯瞰しながら、
彼がその都度に関心を持ったことに分類して構成してた。

「物質の相」:時間への関心。「Tardiology」の再現展示。
「地上の相」:物質の変化を地上の様々な現象を記録することで汲み取る。
「天上の相」:変化を空への関心へと向ける。星空の定点観測。
「宇宙の相」:宇宙の構成を認識する。空から宇宙へ。
「太古の相」:化石などを通して宇宙の原初の姿を辿る。
「未来の相」:未来への提案。ソーラーカーなど。

 

空を見上げて宇宙の存在を感じたり、月の動きから音楽を導き出したり
化石から太古の地質へと関心を向ける彼の志向性は、時代ごとに関心の
対象を変えているようだけど、通底しているものがあると感じた。

それは、自然現象に丁寧に向き合い、その本質を探求し、気付きにくい
(でもちゃんと存在してる)神秘性を見つけ出すことだ。

 


とくに気に入ったのは

『moon score』
 月の運動を五線譜上に記録して音楽にした

『北緯35度の太陽』
 一年間、同じ場所で撮り続けた太陽の写真を繋げて表現した「リング」。
 我々の目が、太陽の動きの残像を一年間保つことができるのなら
 誰でも賀目にすることができる不思議な、でも心惹かれる曲線だ。

『Grus score』
 飛ぶ鳥の姿を、五線譜上に音符として置き換えて音楽にした

『ジュラ紀の巨木:豊中』
 1年に年輪を1mmずつ刻んで成長する木が、ジュラ紀より現代まで
 約2億年間生き続けたら、直径200kmにも及ぶ大木になっている。
 それを地図上に表したもの。


野村仁のこと、実は知らなくて、国立新美術館でやっているんだから
面白いところがあるんだろう、くらいの気楽さで行ってきたんだ。


野村仁は、1945年、兵庫県に生まれた現代美術家で、1960年代末から、写真を使った美術表現に取り組み、ダンボール箱やドライアイスなどの固体物が少しずつ形を変え、その様相が移り変わるさまを写真で記録し、「重力」や「時間」を眼に見えるかたちで示す作品で注目を集めたそうだ。
そして「物が今ここに在るとはいかなることか」や、
物や時間によって成り立っているこの世界とは何なのか」に関心を持ち、その眼差しの対象を、地上の現象から、空や宇宙、DNAへと広げていき今も表現活動を続けている人だ。

映像や音、さまざまな媒体を使って表現された作品の並ぶ展覧会場で
星、地球、宇宙、悠久の時間、を心地よく感じることができた。

 


ひとつ残念なのは、7月3日~5日までに美術館内で開催されるイベント
「七夕直前、美術館で願いごと。」に参加すると、当日に限り展覧会の
入場料が「無料」となったことに今更気付いたこと。
美術館って、こういう面白そうなことをさりげなくやるから、
注意しておかないとね。


マイコミジャーナルの紹介記事
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/06/05/nomura/index.html


 

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