2009年11月27日金曜日

阿波木偶箱廻し


25日に「部落開放・人権文化フォーラム2009」に行ってきた。

そこで、人形劇の「阿波木偶箱廻し」の公演があった。
演目は「三番叟まわし」「えびす舞」「大黒廻し」。

これを演じる芸人は、1960年代末頃にはほとんど姿を消したそうだ。
部落差別意識と重ねられ、子や孫が結婚や就職時に差別されることから
箱廻し芸人は廃業しようとして、多くの木偶人形を川に流したという。

それを被差別部落の文化を掘り起こす作業のなかで、箱廻しの芸を
復活させようと、1995年から取り組んでいる人たちの演技だった。

遠くからの観劇でも、本物の持つ演技の魅力は十分に感じられた。
人形浄瑠璃の原型という説明があったけど、それがよく理解できる。


人形を二つの箱に入れ、それを天秤棒で担ぐ。
正月から2月に掛けて門付に800軒以上も訪問する!



明るくユーモラスな人形の動き。見事な人形繰りだ。


羽織袴姿の女性が、朗朗と浄瑠璃を語りながら演じる姿に
会場中の視線が集る。
居眠りしてた隣のおっさんが、目を覚まして身を乗り出して
見てるくらいだからね。


阿波木偶箱廻しは徳島の伝統芸能だといえば聞こえはいいけど、
もともとは江戸時代の「門付け芸」になる。

普段は蔑まれる芸人達が、祝祭時は神を迎える仕事をするというのが
単なる差別とは違う、身分を固定する社会制度の歴史を感じさせる。

文化を消して、差別だけは厳然と残す現代人ってなんなのって思う。
 

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