2010年3月10日水曜日

文化の担い手のことを考えた


日曜日に3331で、卒業制作展を見て、なんとなく考えたこと。

多くの人は、自分たちの地域や生活の場での芸術の必要性を認めると思う。
概念としては。総論賛成!

一方で、芸術を生み出しているアーティストその人の重要さって肌身に
感じているのかなと疑問に思う。
目の前の作品やできごとを作るためにアーティストが働いていることには
意外と無関心、っていうか見たことないので分からないってのが多いかも。

大地の芸術祭やワタラセアートプロジェクトを見ても、現代美術の作家は
多数いるように感じるけど、芸術活動だけで生計を営めているの人は意外と
少ないのではないかな。データがないので感覚だけど。

アーティストとひとくちに言っても、様々な職種がある。
たとえば俳優、舞踊家(バレエ、コンテンポラリーダンス、暗黒舞踏...)、
演奏家、演出家といった解釈系の芸術家(interpretive artist)がいる。
この人たちは演奏や出演で舞台に立てば、いくばくかの報酬が期待できる、
稽古量や鍛えた技に見合っているかは別として。

一方で、創造系の芸術家(creative artist)、作曲家や劇作家、振付家、
詩人、美術作家がいる。ゲーム作家や漫画家も含めてもいいよね。
この人たちのクリエイティブに対する報酬って、どう考えればいいんだろう。

Insideoutでもお礼を用意するけど、それは薄謝のレベル。
本業で仕事を委託することがあるけど、その対価設定もかなり悩む。
クリエイティブの成果をうまく評価できてないんだ。

生き残り、名声を得た芸術家は多額の報酬を得るようになるけれど
そうなるまで「自分で勝手に育てよ!」でいいんだろうか?

芸術家であることって、社会の中でもっとも困難な生き方じゃないか、
そう感じる。保護者的な見方で言えばハイリスク・ローリターン。

たしかに、漫画でも音楽でもヒットすれば多額の収入(一攫千金)になるし
出版社はそれでもっている商売だろうけど、そういうビジネスモデルって
今後も続くんだろうか。かなり疑問だ。

芸術(流行り言葉のコンテンツとしてもいいかな)を創り出すのは
アーティスト。
日本が芸術文化を大切にする(コンテンツ産業を振興する)国なら、
アーティストが働きやすい国であるべきだろう。

では、どういう方法が考えられるか?

生活にもチャンスにも困っている芸術家(の卵)が動きやすくする
仕組みを作ることだな。

一つは消費の拡大。
若者への学割はどうだろう。
ケータイの販促のマネだけど、若いうちから、芸術作品やコンテンツを
買うことに慣れたら、長い間の消費が期待できる。
この割引原資をどうするか?

もう一つは作家への助成。
助成のお金をどう手当てするか(公金か?)、対象とする作家をどう選ぶか、
どのくらいの期間が適切なのか、支える対象はベーシックインカムなのか
制作費なのか、などなどクリアすることが多いけど効果があると思う。

これらを社会保障ではなく、社会全体の(公金を使った)投資という視点で
検討したいものだ。

まあ、ちょっと難しいことは分かる。

消費を前提としない文化活動の場面を増やすことが、ぼくのテーマだけど、
(あまりお金を使わなくても、都市の中で楽しく暮らせるようにしたい!)
それとあわせて、基礎消費の中にアーティストの仕事を買う場面を増やす
ことも重要で、まずはこれを自分の手の届く範囲で進めていくかな。
  

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