2010年3月18日木曜日

都市再生ステップアップ・プロジェクト


昨日、都市整備局が発表して、今朝の日経新聞に記事があった。

3年程前から都市整備局と財務局で検討されてきたことのうち
ようやく第一弾の発表になった。ちょっと感慨深い...

都市再生ステップアップ・プロジェクト」実施地区(竹芝地区)の決定について

都有地の活用では、平成15(2003)年度から、民間資本による都市基盤の
整備を図る「先行まちづくりプロジェクト(略称せんまち)」を進めていた。
具体例は都営住宅の建て替えで生じた余剰地を活用した東村山本町地区と
勝どき一丁目地区、都バス営業所の土地を有効活用する上大崎三丁目地区、
大田区西馬込一丁目地区が地区指定を受けている。

都市再生ステップアップ・プロジェクトは、先行まちづくりプロジェクトを
発展させた仕組みになる。
竹芝では複数の都有施設を取っ払って(ここになくてもいいだろ?)まとまった
土地をひねり出して、民間事業者の参入も促し、それによってより効果の高い
(と思われる)都市機能も配置しようという考えだ。


都の発表では、契約方法含め今秋発表予定のガイドラインと事業実施方針で
詳細を出す予定のようだが、日経の記事には事業用借地権とある。
はて、どちらが正しいのだろう?
事業用借地だとMax50年間になってしまうが、業務用の高層ビルを建てようと
する場合は、それでは短いだろう、と感じる。
現に、港南四丁目第3団地建替プロジェクト(民間施設ゾーン=住友不動産の
シティタワー品川)では約70年の定期借地方式を採っている。


東京全体を大きく見て、都市機能の再配置をしていくという考え方は
共感できる。

ただ、具体的に竹芝で実施となると、判断しかねるところがあるな。

再開発すれば、八重洲・丸の内〜汐留〜竹芝〜田町〜品川の連続性ができる
という期待感がある。
一方で、計画地のほとんどは、浜松町駅から首都高都心環状線と海岸通りで
分断されたその先にあり、徒歩の動線が悪く、そもそもオフィス街として
「現時点での」浜松町は都内で二番手、三番手のポジションだ。
事業の成否は、施設整備でこれをどれだけクリアできるか、にかかってくる。

あとは、どんな事業者が参加するか?

不動産業界、とくにファンドは、今年は借金のロールですごく苦労するだろう。
それは金融機関の苦難でもあるわけで、新たな事業資金の出し手が誰になるのか、
ぼくにはよく分からない。(だからこそ借地を使うんだろう)

これまではCDSが機能したから、高金利を甘受すれば融資はなんとか受けられた
(金融機関から見れば融資できた)。
でもCDSがダメとなり、さらにオバマ政権が先鋒となっている金融機関と市場の
規制強化が進むと(これの考え方には共感しているけど)、金融機関の融資は
より厳しくなるはず。
商業の不振(賃料収入減少)+融資厳格化→CMBSの破綻→金融機関の業績悪化
→さらなる融資厳格化(流動性の喪失)→新規事業資金の手当て困難...
そのときの、資金の出し手は中国やシンガポール、中東の外国人だけ。
あんまり想像したくないな。
事業者募集は2011(平成23)年度なので、状況は改善していると期待したい。

都市機能の再構築とか、金融危機の再発防止とか、長い目で見ると正しい
取り組みだと思うけど、そのことが、個々具体的な計画にはあまり喜ばしくない
影響を与えそうだ、というのが悩ましい。
杞憂であればいいけど。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿