2009年4月1日水曜日

嘘のような話 SFCGの債権二重譲渡

SFCGが民事再生法の適用申請をした後に「債権の二重譲渡などが発覚した」という報道がありました。このことで民事再生ができなくなり清算手続きに入るようです。

債権の二重譲渡なんて、教科書に書かれていることで、上場企業(しかも金融の仕事をしている)がする取引で現実にあるなんて思ってもいませんでした。

 SFCGの発表はこちら

債権って何か確認してみます。
債権は不動産その他の財産と同じように売買の対象とすることができます。民法第466条(債権の譲渡性)で、原則として自由に譲渡することができる旨が規定されています。

一方で債務者の立場では、誰が債権者であるかが分からないと譲渡人と譲受人とに二重に支払う危険性があります。
だから、債権譲渡の事実を債務者に対抗するためには、「譲渡人から債務者に対する通知」または「債務者の承諾」が必要とされています。
また、債務者以外の第三者に対して債権譲渡の事実を対抗するためには「確定日付のある証書」による譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要と規定されています。

実務上は、配達証明付内容証明郵便で債務者宛に債権譲渡通知を送付しますが、バルクセール等の場合で、法人がする金銭債権の譲渡等については登記をすることにより債務者以外の第三者に対する対抗要件を得ることができるようになっています。
(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律)

債権譲渡登記は、債務者以外の第三者に対する対抗要件についての特例であるため、債務者に対抗することはできません。債務者に債権譲渡の事実を対抗するためには、債権譲渡登記をしたことを証する登記事項証明書の交付を伴う通知が必要です。

そこで、債権が二重に譲渡され、かつそのいずれも民法上の第三者対抗要件を備えている場合、その優劣はどのように決するのでしょうか。この点について判例は、通知または承諾に付された確定日付の先後ではなく、確定日付のある証書による通知の到達した日時、または確定日付のある債務者の承諾の日時の先後で決するべきとしています。
これに対し、債権譲渡登記がなされている場合は、次のような取扱いになります。

 (1)双方の通知が債権譲渡登記の登記事項証明書を交付して
    されたものであるときは、当該証明書に記載された登記
    の日時・時間の先後で判断。
 (2)登記事項証明書の交付を伴う通知と、確定日付ある証書
    による通知が競合した場合は、登記事項証明書に記載
    された登記の日時と民法の通知が到達した時を比較し、
    その先後で判断。

いつの時代でも悪いことをする人はいますので、取引の相手方を注意深く見る必要があります。債権の二重譲渡にひっかからないためには、対抗要件を具備したことを確認してから譲渡代金を支払うことになりますが、漏れなくやろうとすれば手間隙が係ります。取引のコスト(とくに時間!)に限りもありますし、実際には完全にやれるのでしょうかね。

今回の事件は、どうも故意に二重譲渡したのではないかと疑念を拭いきれませんね。
詐欺で社長の大島氏なり誰かが検挙されるかもしれません。
あの会社だから、の特異な事件であればいいのですが、いずれにせよ、今後は
債権譲渡の都度この事件を連想するでしょうね。

 

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